一般に陶磁器の原料は天然鉱物である珪酸塩鉱物、粘土類、石類です。
製造する条件を限定しなければ、ほとんどの天然鉱物が使用できます。
しかし、製造されるタイルの品質、たとえば白い素地が必要な場合は、原料の中に鉄分が含有されていると、鉄分が焼成中に反応し、
色が鉄分の影響を受けてしまいます。
その影響をなくする為に、原料選定上の厳しい制約を受けることになるのです。
良く言われることがあるのですが、原料産地の山土や畑の土を掘ってきてそのまま使っているのが、レンガタイルで有るかのごとく言われることが、笑い話の様に未だにあるのです。
タイルの色斑やサンプルとの違いなど、簡単に指摘されることがございますが、タイルの品質は、タイルの原料である素地によって決まってしますのです。
現況、ますます原料産地の安定的な生産・供給が難しくなっています。
昨今では、より目的にかなったプロフェッショナルな打合せがますます必要となっているのです
タイルの原料を大きく分類すると、粘着力を有する可塑性原料(粘土類)、骨材、溶剤となる非可塑性原料(石類)とに分けることができます。
一般的に可塑性原料には、
カオリン、蛙目(ガイロメ)粘土、木節(キブシ)粘土があり、
非可塑性原料は、
陶石、ロウ石、珪石、長石があります。
このような原料を、タイル品種、製造方法別に試験して調合します。
可塑性原料(粘土類)
粘土とは、天然産の微細なアルミノ珪酸(主にカオリナイト)を主成分とする鉱物の土状集合体で、その微粉末を水で湿らせば可塑性、乾けば剛性を示し、充分高温で焼けば焼固するものをいいます。
カオリン:カオリナイトを主成分とした可塑性のやや劣る、焼けば白色に焼きあがる粘土です。
蛙目粘土:カリリナイトを主成分とした可塑性の高い焼けば淡黄色に焼きあがる粘土で、タイル製造上必要欠くことのできない原料の一つです。原土中の珪石がキラキラ光り、蛙目のようなところから、蛙目(ガイロメ)粘土と呼ばれます。
木節粘土:カオリナイトが主成分。最も可塑性が大きく、焼けば淡黄色に焼きあがる粘土で、湿式製法に使用されます。原土中に亜炭が含まれていることから木節粘土と呼ばれています。
海外では、ball clay ボールクレイと呼ばれています。
非可塑性原料
粘土に調合され、素地の骨材となって乾燥を早くし、乾燥及び焼成後の収縮を少なくします。
また、タイルの変形や亀裂を防ぐ役目をはたします。
非可塑性原料には、陶石、ロウ石、珪石があります。
長石もこの中に入りますが、高温でガラス化した時に高粘性範囲が広い為、溶融原料として使用され、磁器には欠くことのできないものとなっています。